神奈川県公立高校入試選抜実施
2月14日、神奈川県公立高校の共通選抜試験が149校で行われた。15日、16日そして19日においては一部の学校で面接や実技検査が行われる。またインフルエンザなどで受験できなかった生徒に対しては、追試験として20日に実施されることが決まっている。
全日制高校の募集定員数は、39,027人で45,890人が受験した。平均競争倍率は1.18倍で、例年並みとなった。そのような中、募集定員に満たなかった学校は29校にのぼり、1,321人の欠員となった。
出題内容は例年とほぼ同じであり、配点や出題数の違いはあったものの大きな変化はないと言える。文章から要点を正確に読み取り、短時間で効率よく解く力が必要であった。社会や理科では、与えられた資料や史料、数学では与えられた条件をよく整理・把握し、その前提を踏まえての回答をする力が求められた。
普段からこのような練習を兼ねた学習が強く求められたのではないだろうか。
各教科の出題ポイントは以下のようになる。
― 英語 ―
前半の問5までの問題では、文法知識はもちろん、単語・熟語力が問われた。特に問3ではこれが顕著に表れており、語彙力プラス文章理解力が試された。正攻法だけではなく消去法をも駆使して解答することが求められたと言える。後半の問6から問8では、例年通り英文と資料を組み合わせた問題で、これも例年通りの出題と言える。英文内容が社会的なテーマであったり帯グラフや折れ線グラフといった資料から計算などが求められなかったりしたことから、難度は高くはなかったと言えるだろう。
― 数学 ―
まず、全体的に計算しづらい数値が各問題に練り込まれていた。制限時間を考えた効率性を重んじた場合、問題の取捨選択や計算力、計算工夫力が強く求められた。
例えば、問3の(ア)(ⅱ)では、円と三角形でなす複雑な図形の問題であった。この問題では着眼しなければならない角度を間違え、時間が取られた受験生が多かったと推測できる。また同(イ)の問題では、見慣れない“箱ひげ図”が出題され、正確な平均値を出すのに時間が取られたのは間違いない。
― 国語 ―
問題構成など、概ね例年通りとなった。問1は漢字と短歌、問2は小説文、問3は論説文、問4は古文、問5は資料は提示させず、その代わり文章が2つ提示された。
注目すべきまず問題は問2の小説文で、昭和35年という昭和時代の中頃という時代設定、さらに横浜からは縁遠い青森の方言や結婚に関する文化のものであった。これによって身構えたり戸惑ったりした生徒もいたようにも思えるが、出題された問いは、登場人物の心情を問う基本的なものであったと言える。問5は前述したとおり資料はない代わりに文章が2つ提示され、筆者の主張を的確に掴み見極め、(イ)で簡潔にまとめる力が求められた。題材がAIについてであったため、これに興味関心の有無によっても解きやすさが変わったと言えるように感じた。
― 理科 ―
例年通りの大問構成であった。しかし小問数が増え、このため配点が細かくなったと言える。全体的な難度は、少々上がったと言えるように思える。例えば問5の物理の磁界に関する問題である。交流電源の流れる電流の向きによって、コイル内の磁界の向きが変わる装置についての問題である。音の高さが電流の周波数とコイルの振動数によって変化すること、また電流の大きさによってコイル内の振動数が変わり、コイルの振幅と合わせて音の大きさが変わることを実験装置から掴まなければならない難しさが目立った。また問6の化学の問題では、水溶液中のイオンを図に描き込み可視化することが正解へのポイントとなった。
― 社会 ―
理科同様、大問構成、また3分野の出題は例年通りであった。ただしこれも理科と同じになるが、設問数が多くなったことで、テンポ良く回答していかないと時間が厳しくなることが言える。そのためにはどうしても正確な知識が求められたと判断できる。また選択問題では、6択や8択の問題が目立ったり、1つの選択肢に複数問題の回答が示されていたりと、誤答選択肢に惑わされることなく正解を瞬時に判断する力が必要となった。問7(エ)の地理の問題では、資料の読み取り問題であったが、その資料の量が多く、どれを参照するのかの判断が求められ、時間がかかった受験生も多かったと考えられる。日頃の学習では、誤答選択肢の何が、どこが間違っているのかをも指摘できる学習を心がけたいところだ。