大学付属中学・高校の現状
付属校の利点を考えた時に、やはり「大学までエスカレート」、「大学受験がない分、部活や趣味に没頭できる」、「併設大学の授業を受けることができ、単位として進学したときに認められる」等といった事があげられる。
しかし、現在は大学付属校に入学しても他大学へ進学する生徒が多く、「半付属校」といった言葉があるくらいである。身近な場所の例として、フェリス女学院や神奈川大学付属中、清泉女学院などがそうである。
では、何故このような現象が加速しているのか。これにはいくつもの要因があるが、まず全国の大学の約4割で定員割れになっていることを確認しておかなければならない。これを読んでいただいている多くの保護者の皆さんが受験した1984年前後の4年生大学の数は460校余りであったが、直近の数値は774校にもなっている。子供の数が減っているにも関わらず、大学そのものの数は増加している現況があるのである。これにより政府の地方創生政策による東京23区内の大学は募集定員の厳格化が求められ、一般の入試での過度の合格者数を出せなくなったことがあげられる。そのような中、各大学はこれに対応するため付属校や系列・提携校から優秀な生徒をあらかじめ確保し、一般入試の合格枠を狭くしても偏差値が落とさず維持できるメリットを見出したのである。つまり優秀な生徒の確保する方法を一般入試からではなく、付属校や系列校を物理的に多くして、そこから得たいという事情が存在する。これは東京だけに留まらず、ここ横浜でも、2010年に中央大学が横浜山手女子を付属校にしたり、2016年には横浜英和女学院が青山大学の係属校になったり、その他横浜富士見ヶ丘が東京理科大の、横須賀学院が青山大学の系列校となっていることはご存知のことと思われる。
付属校のメリットは前述したとおり、大学受験のための勉強に時間を費やすことなく部活やお稽古事打ち込むことができ、一生の仕事にできる得意分野やスキルの基礎を築くといた声を耳にする。このような安心感は精神的な情緒安定につながり、本人だけでなく親にとっても大変大きいものがあるのは間違いない。
ただ、こういった良さを生かすかどうかは本人次第で、積極的、自発的、そして能動的な姿勢を持つことが付属校の最大のメリットを生かすことになるのは間違いない。