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東工大・東京医科歯科大 統合へ

8月8日、大学幹部及び学外有識者等で構成する経営協議会を開き、法人統合に向けて協議を開始した。1法人で1大学にするか、2大学にするかは、いった具体的な方針も協議している。

東工大は理・工など6学部、東京医科歯科大は医・歯の2学部、統合すれば13,000人の在籍生徒数となり、東大や京大と並ぶ研究力の高い大学の一角となる。国が交付する助成金においても、年間356億円に到達し、北海道大学や筑波大学に並ぶ。

そもそも何で統合なのか。そこには先端研究を充実させ、「卓越大」の指定を目指すところにある。少子化で将来の経営悪化が懸念される事を背景に、近年は大学の生き残りをかけた統合・再編が相次いでいる。近年では奈良教育大と奈良女子大、そして記憶にも新しい大阪府立大と大阪市立大が統合して大阪公立大が誕生している。そのような中、両大学はそれぞれの強みを生かし、ロボットやデータサイエンス等の技術を駆使し、新たな医療サービスを提供することを模索している。そして新たな治療法やヘルスケアサービスなどを生み出す「医工連携」は大学発ベンチャーの排出や凍死呼び込みにつながる期待もあるとしているところである。

政府は2024年度以降、10兆円規模の「大学ファンド」で、年3,000億円の運用益を目標とし、1校あたり数百億円の配分を検討している。この配分を今回の統合によって受けられる可能性がかなり高くなり、研究環境の整備が飛躍的に進み、間違いなく國際競争の生き残りにおいて大きくリードすることができる。

ところで、岸田政権は大学ファンドを日本の科学技術力復活の「切り札」としており、財政投融資などで獲得した10兆円を再建や株式などに投資し年3000億円という金額を支援すると言っているが、仮にこれを5校に配分するとして500億円に上す金額になる。現在500億円を超える支援を受けているのは東京大学と京都大学の2校だけで、3位の東北大においては459億円に留まっている(21年度)。財政難で大学支援金が減る昨今、異次元の金額となる支援は、果たしてどこまで有効なのだろうか。今回の統合が実現すれば、少子高齢化、介護士不足、介護施設の不足などをカバーできる物となるのでは、という期待と、特定の大学に偏った支援、一極集中のようなものになる懸念が混在するように思える。間違いなく両校の統合は他大学へ強い影響を及ぼし、卓越大認定に拍車がかかると思われる。

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