
デジタル教材懸念
小中学校で使われているデジタル教科書について、読売新聞社は全国の小中学校長188人にアンケートを行った。内容は、「デジタル教科書の今後の在り方」で、回答した校長の約95%がデジタル教材のみでは懸念を示し、紙の教科書との併用を希望した。デジタル教科書は、紙の教科書の代替え教材の位置付けで、紙と同じ内容をデジタル化したものである。一人一台の学習用端末として導入され、文部科学省主導で2021年に配布を始めた。現在は小学校5年生から中学校3年生の英語と算数数学で、一部で使える環境にある。
文部科学省は、デジタル教材の使用拡大を目指すとしている。一方学校現場では、紙を支持する根強い現状がある。前出の95%という数値は、デジタルだけでは不安が払拭できず、カリキュラム進行を考えた時、やはり紙の教材は必要というものである。しかしその逆の全く必要とせず、デジタル教材だけで充分と回答した数値は4.3%というものであった。またデジタル教材は不要とし、紙の教材だけで充分であると回答した数値は、わずか0.6%にしかならなかった。
デジタル教材のみ、とした回答は前述したように4.3%で、いわば紙の教材は何らかのかたちで必要とする95.7%となった数値の理由として以下のようなものがあった。「いつでも見返すことができる」、「深く探究するには紙の方が有効である」、また「理解定着には紙の方がメリットが大きい」といったものがアンケートの自由記述欄で見られた。
早稲田個別港南中央教室においても、コロナ禍においてオンライン授業を一部行ったが、授業の支障となった一番の理由に、端末やネット環境のトラブルがあげられる。声が聞こえない、画像がフリーズする、キーを押しても作動しない、といったことが多々あった。学校で使う端末においても同じようなことが懸念される。生徒児童一人が「先生、声が出ません、聞こえません」といったことや「画面が動きません」といった声を無視することはできないであろう。すると教師はその児童生徒のところに行って端末を見る、調整する。もうここで授業は中断となり、カリキュラム進行は圧迫されることとなる。
端末は機械である。機械である以上故障は絶対あるという前提となる。それでもデジタル教材の利点を活かし授業を進めていくのであれば、もしも、のことを想定し、紙の教材との共存共栄をしていくしかないと思う。