海外留学の本格化再開
留学。これは「日本という一つの枠組みから外に出る」という行為と位置付けられる。アウトサイダーとして別の社会に身を置き、人と人との距離感を、身を持って学びながら人間的な触れ合いを重ねるものだとも言える。「トライ&エラー」、挑戦しながら失敗を繰返す。このようにも表現できる留学は、新しい事態に適応できる能力を身に付ける、最適な手段と言えるのだと思う。
そのような中、日本人は海外に留学する人数が少ないというデータ(留学生教育学会調べ)がある。その理由の一つに「自己充実感」があると思われている。この自己充実感は、あえて留学をしなくても、今通っている学校の枠組みの中で頑張れば、安定して満ち足りた人生を送れると思うことを意味する。しかし生成AIなどが急速に発展している今日において、今の社会の枠組みがこのまま続くと考えるのには少し無理があると判断せざるを得ない。そうであるならば、どうでなければならないのか。近未来ではおそらく、新しいルール作りができる人材が求められると考えられる。既存の枠組みを超えて、新たなものに主体的に関わる能力が重要になって来るのだと強く感じる。
さて、コロナが収束しつつある現在、留学者数はだんだんコロナ前の数値に戻りつつあるという。とは言え、完全に戻ったわけではない。どうしても留学にはまだ様々な壁がある。それは何と言っても円安の影響が大きい。航空運賃、海外での生活費等、留学に関する費用は高くなり割高感は否めない。またロシアとウクライナの戦争も何らかの影響を与えていると考えられる。そして高校生で留学した場合、一部の高校を除いて留年をしなければならない場合も忘れてはならない。留学が留年につながる。高校生にとっての留年は、決して良いイメージではない現実がある。事実、留年を理由に留学を諦める生徒は少なくないというデータもある。
日本の未来を担う人材を育てるためには、留学を支援する機運をさらに高め、留学しても元の学年に戻れるような仕組み、このような社会を国を挙げて全体で取り組む必要があると強く感じた。