中間・期末定期テスト廃止の波
定期テスト廃止の波が押し寄せている。2018年度、東京都千代田区立麹町中学校の試みが影響されていると考えられる。
そもそも根底には、「自ら学ぶ姿勢を育てよう」というものがあり、定期テストを単元別テストに変え、またそのテストに対して再挑戦も認める形をとっている。
定期テストは、ほぼ一発勝負というところがあり、広い学習範囲から出題されるため、いわゆる“ヤマ”を張る生徒も少なくないという。また普段部活などの練習でじっくりと学習時間が取れず、定期テストに対する対策は直前になってから、という現状もある。定期テストはどうしても「やらせる感」があり、本来の生徒が進んで学習するということからは遠く離れているとも指摘されている。
仮に定期テストを廃止したとすると、上記した単元別テストは何回実施することになるか。岐阜県大垣市の市立東中学校では、各学期(3学期制)3回の単元別テストを行うことから計9回を実施しているという。これは2~3週間のペースで実施される計算になる。こういったテストの回数増は教員の負担増につながらないか、という新たな心配が出てくる。北海道の標津町立標津中学校では、年間を通しての負担は平準化したが、トータルでは増えた感は否めない、と同校長は言う。
色々と定期テストに対しては、様々な意見を持っている方が多くみられるが、私としては、高校入試の現状が中学3年間で学んだ広い出題範囲からごく一部が出題される、問われる現在の状況を考えると、これと同じスタンスの定期テストは“有効”と思うところが強い。一夜漬けの勉強、出たとこ勝負、一か八か、といったテストに対する姿勢としては決していいものではないが、失敗したことから「やはりこれらはいけないのだ」、「ダメなんだ」、という経験も学習の一つと考える。だから、「普段からのコツコツとした学習が必要なんだ」と知る機会でもあると思う。この定期テスト廃止が実現するのであれば、高校入試も『何々について論ぜよ』、『何々について自分の意見をまとめなさい』といった形で、学校教科書や辞書、辞典の持ち込みを可とし、論文形式のものにならなければ意味はないと思うところである。しかし現在の神奈川県の入学試験の状況は、記述式の問題の採点に多くのミスがあることから大部分の出題でマークシート方式を導入し、極力記述回答を避けている今があることから、これは難しいと考えられる。
高校入試が変わらない現状で、その素となる定期テストを変えていいものかは大いに疑問を持つところである。