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夜間中学ニーズ高まる

義務教育が終了していない人たちが通う”夜間中学”の新設が、あいついでいる。現状は、この5年間で1.6倍にもなった。ではなぜ新設校が増えているのか、どうして通学を希望する人が増えたのか、この理由を紐解いてみたい。

一番の理由は、学校で充分な教育を受けることができなかった不登校経験の生徒で、次いで外国人の学びの場として希望者が多いことがあげられる。

夜間中学はもともと戦後の混乱期に、生活苦などで小中学校を卒業できなかった人が義務教育を受けられるよう開設された。1950年代には80校を数えたが、1960年代にはいっきに20校にまで縮小した。しかし最近は自治体が新設するといった動きが全国各地で見られ、2019年の33校という数が2024年には53校に増えた。首都圏や関西圏、北九州にそれは多く見られ、2025年度には石川県や名古屋市など少なくとも9県市が新設する予定になっている。

2024年度、全国の夜間中学に通う生徒数は1969人で、そのうち日本人は713人、10年前の2014年度から増加する一方となった。増加の背景には文部科学省の2015年に不登校の状態で形式的に中学校を卒業した人を夜間中学で学ぶ生徒の対象としたことが強くあげられる。それまで既卒者は夜間中学に入学できず、義務教育を受け直すことができなかった。不登校の小中学生は急増しており、文部科学省の担当者は「夜間中学は不登校だった人の受け皿としての役割を果たす」と説明している。

夜間中学は日中働く外国人が学ぶ場にもなっている。1990年代から増加し、コロナ禍でいったん落ち込んだものの、現在はその数が回復傾向にあるという。

役割が変わった夜間中学で、多様化する生徒一人ひとりにあった指導をいかに実現していくかが現在課題である。

以前不登校経験があった生徒には、教員が福祉の専門家と強い連携をとったり、生徒に寄り添い勉強する意欲を引き出したり、課題はまだまだたくさんある。ま外国人に対しては、通訳を学校においたり文化の違いを説明する場を設けたり、とこちらも課題は少なくない。

学校には児童数、生徒数の激減によって余剰となった教室が多数あるはずである。国や各自治体は、これら教室を有効に使って要望にニーズに応えてもらいたいところである。

 

 

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