検温カメラ、要注意
新型コロナウィルス対策で、映画館やスポーツ施設、劇場と至る所で検温するために置かれているサーマルカメラ。今、このサーマルカメラが問題視されている。
何が問題視されているかというと、コロナが終息に向かいつつある今日、フリーマーケット“メルカリ”の販売からそれは発覚した。
今年5月上旬、このメルカリにおいて1万円ほどで購入したカメラに、2021年3月から2023年1月にかけてのデータが残っていたと購入者はいう。データにはランドセルを背負った児童が鮮明に写っており、それはどうやら大阪のある小学校に併設されている学童クラブに設置されていたと思われる。検温した数値はもちろん、日付と時刻も記録されている。学童クラブが新しいカメラを導入したと同時に今まで使っていたものが必要なくなったとして処分し、メルカリに出品されたとされている。
さて、これがどうして問題なのか。単なる日付と時刻、そして誰だか分からない児童の姿と思う人もいるかもしれないが、残念ながらそういった人は現在の画像解析や応用技術の現状を知らない人である。まず、SNS上で悪口を書かれたり誹謗中傷されたりしてしまう。また勝手に自分の子供として画像が使われる「デジタル誘拐」が行われ恐れもある。また他の情報と合わせて、「闇名簿」として出回ったりして、マーケッティングや犯罪に使われたりすることも考えられる。そして女の子の場合、画像の背景から居住地が特定され、つきまといや性犯罪に発展する恐れがあること。さらにこの性犯罪に着目すれば、性的なフェイク画像の素材として利用される恐れがあることが少なくともあげられる。
学童クラブの理事長は、購入したときの取り扱い説明書から記録されたデータは残ると書かれており、これを認識していたとしているが、このデータの消去方法は説明がなかったため、そのままにして出品してしまったと言う。
カメラのメーカーや理事長の対応にと色々問題はあるが、社会全体としてこういった問題があることの浸透のなさが全てを引き起こしているように思われる。
個人情報保護法では、顔画像は氏名や生年月日と同様に位置づけられている。顔画像を消去しないまま廃棄や処分すると同法に抵触する恐れがある。
こういったことを我々はもっと敏感になるべきではないだろうか。