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総合学習2倍超ヘ

文部科学省が2022年度に始めた「授業時数特例校制度」というのがある。学校の裁量で、一部の教科で最大一割までコマ数を減らし授業時間の配分を変えることができる。これは授業編成の自由度高め、教科の枠を超えた探究学習などを推進する狙いからである。

このような中、東京都渋谷区の教育委員会は、区立の全小中学校26校で、「総合的な学習の時間」を現在の2倍以上の年間150コマに増やすことを決めた。国語や算数などで最大9教科の授業時間数を1割減らし、総合学習に上乗せして、探求学習を充実させるという。

知識を教え込む一方通行授業から、子どもたちが主体的に学びを深める学習へ転換し、実生活に活用できる思考力や表現力などの育成を目指すことを第一とした結果である。

さて、このような探究学習優先のカリキュラムはどうだろうか、と考える。確かに「実生活に活用できる思考力や表現力などの育成」と言うと聞こえはいいが、私に言わせればこれらは知識があってこそのものであり、何も知識が積み重なっていない、考えるに充分至っていないのに、いくら「考えろ」、「発表しろ」、と言っても何も口からは発せられないであろう。知識を覚える、そして定着させるにも先生がどのように学習をしたら良いか、ポイントや方法をきちんと導く必要があることは否めない。その上で、次のステップとして、これらの知識が定着したところで、という段階でいわゆる考える“探求”が初めて生きてくるように強く感じる。

渋谷区のように極端ではないが、国語や算数といった授業を削減し、このような探究授業を行う予定の学校は埼玉県の久喜市や京都市の学校でも予定している。

その昔、「ゆとり教育」と銘打って、台形の面積の学習を削減したり円周率の数値を“3.14”を“3”で計算させたりという改訂があった。しかしその後いずれも撤廃に至っている。

今改訂も、同じ轍を踏まなければ良いのだが…。

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