
研究拠点大学の設置急務
私立大学の研究力を底上げし、国際競争力を高めることを文部科学省はねらいとし、優れた研究成果を持つ私立大学を「研究拠点大学」として指定、さらに施設整備や人員配置に必要な資金を集中的に支援する方針を固めるとした。
文部科学省は2026年度からの指定開始を目指すとしている。
2026年度予算の概算要求に必要経費を盛り込む方向で調整している。指定対象は、バイオや量子技術など成長が見込まれる分野の研究に取り組む私立大学としている。最先端の研究施設設備を後押しし、実績で先行する国立大と並ぶ研究力を持たせるとしている。拠点大学では、共同研究の場として施設を他の私立大学にも活用させ、私立大全体の研究力向上へとつなげる。
支援は指摘助成金を重点配分するかたちで行う。助成金のうち、人件費などに充てる経常費補助金と施設整備補助金を一体的に支給することを検討している。
私立大学は近年、研究力の向上に力を入れている。国の科学研究費助成事業で、私立大学の2024年度の採択件数は24,310件で、20年前に比べ2.6倍に増えた。配分額は2.2倍の計455億円だったが、国立大の約4万件、1,353億円とは開きがある。私立大学は、研究に必要な施設整備に充てる国からの助成金も抑えられてきた。日本私立大学連盟によると、2024年度は計約53億円で、10年度の計約118億円から半減している。2022年度では、学生一人当たりに換算すると私立大は8,000円で、172,000円だった国立大学の5%にも満たない数値となっている。私立大学連盟は今年3月、国が重視する理工農系分野の研究力強化に向け、支援の充実などを国に要望していた。
まずは、国立大学と私立大学との学生一人当たりの助成金額の差にびっくりするところである。
近年、アメリカトランプ大統領がハーバード大学に在籍する外国人に対する対応から、優秀な学生の確保が日本でも課題になっている。これらを踏まえて考えた時にも、国立大学と私立大学との差をなくし、多くの優秀な学生の確保のためにも早い動きが求められることであろう。