大学受験費だけでなく模試代までをも補助
こども家庭庁が、所得が一定以下の一人親低所得帯の高校3年生と中学3年生を持つ家庭を対象に、大学受験やその模試代にかかる費用の補助を始めることがわかった。家庭の経済状況に関わらず、進学の機会を確保するのが狙いとしており、開始するのは2024年度の見通しである。
児童扶養手当を受け取っている一人の親世帯や住民税非課税世帯の18歳以下の子供は、全国で260万人にもおよぶ。この内補助の対象となるのは、高校3年生と中学3年生で、受験をするのが受給の条件となる。
高校3年生には、大学共通テスト大学の受験料などとして計約5万円を補助するとしている。中学3年生に対しては、模試を受けるために必要な費用を助成することにしている。
こども家庭庁が補助にのり出すのは、家庭環境によって進学状況に家庭格差があるためであるとしている。2021年の大学や短大などへの進学率は全世帯が83.8%に対して一人親世帯は65.3%に留まっていることが背景にある。
内閣府が2021年に行った調査では、学校の授業が理解できない貧困世帯のこどもの割合は、全世帯の2.1倍だったことが発表されている。大学進学を望む割合も全体の49.7%に対して28.0%と低く、親の経済状況が子供の学力や進学意欲に影響していると言える。
政府関係者のある人物は、貧困世帯のこどもは、入学金や授業料の費用の問題から合格確率の学校のみを受験し模試も受けないことが多いと言う。親の所得が低いことで進学や就職の可能性が狭まり、低収入が引き継がれる「貧困の連鎖」が問題となっている。
現在政府は貧困世帯の小中学生に対し、学用品代や給食費、修学旅行費なども補助しており、大学の入学金や授業料についても減免制度を設けている。
このように高校3年生や中学3年生を持つ家庭に対して政策を打ち出してはいるが、私立大学一校の受験料や現在の物価高状況をかんがみると、まだまだこの金額では不十分と考え、新たなる対策、政策が必要と思われる。