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公立学校教員資質の低下

残念ながら、公立小学校、中学校の教員の質の低下が最近新聞紙上で目にする機会が多くなっている。“質の低下”。何を持ってそう定義するのか。色々とその要因はあるだろうが、一般に多くの有識者がいう教員採用試験の競争倍率が3倍を切っていることにある。昨年の競争倍率は過去最低の2.5倍で、その3倍を大きく下回っている。2000年の競争倍率は12.5倍であったのにも関わらず、何故これまでもその数値は落ち込んだのか。ここで、現場で働いている教員の生の声をいくつか紹介したい。

まずは首都圏の公立中学に勤務していた女性教員は、わずか1年で退職に至った。理由は、残業の多さだと言う。隠れ残業とされる自宅での仕事に疲弊する。保護者からの電話相談の対応、学年会議の資料の作成、生徒間同士の問題対応報告書、それでもプリントやテスト等の自宅での教材研究は抱える仕事に納得はできたという。そのような中、顧問となる部活の朝練習で毎朝5時30分の起床。体がとにかくもたないと言う。

次に東京都の公立中学校の男性教諭はICT、情報通信技術を担当しており、毎日端末の管理や機器の不具合の対応、不慣れな教員への研修の資料作りとその操作の指導に明け暮れるという。政府が掲げたGIGAスクール構想で、小中学校生徒ひとり一人に一台配備した学習用端末の準備不十分に原因はあると言う。

最後に管理職においてもその影響があることを紹介したい。東京都内の公立小学校の副校長の現状である。毎日の仕事。今は「うちに来てくれませんか」とパソコン上のリストを見ながら、電話かけることだ、と言う。その対象は、待機組と言われる免許状を持つ人や結婚、出産を機に辞めた元教員である。もともと育休取得で不足となった教員の補充に体調不良で休職になった教員の補充と重なっての状況だと言う。今は業務を何人かの教員に振り分け、自分自ら担任を兼務していると言う。

このようなことから、ブラック職場とSNSでも揶揄され、投稿、書き込みが後を絶たない。実態にあった残業代も払われていないことから「定額働かせ放題」とも書き込みにはあるほどだ。教員定員に満たしていない学校は、文科省の調査では1350校、170人に上る。

このような状況は、結局児童・生徒に及ぶ。都内のある小学校では1年間に担任が4回も替わった事例がある。小学校低学年においては、学校生活をスムーズに送っていくためには、担任との信頼関係が大切である。そのような中、4回も代わるということは、もう言うまでもない。
 
このような現状をこれから小学校へ進学していく幼稚園、保育園に通園している保護者はどのように受け止めるのか。9年間という長い義務教育。子供が受ける影響は大きいだけに軽視はできないはずである。

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