お知らせ

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 室長のつぶやき
  4. 中高生の英語力過去最高

中高生の英語力過去最高

文部科学省は6月23日、全国の公立中学校全生徒と公立(都道府県立)高校全生徒を対象にした2024年度の英語教育実施状況調査の結果を公表した。調査は昨年12月に実施された。中学生は中学卒業レベルとされる実用英語技能検定、通称英検3級を取得した生徒や教員が同程度の実力があると認めた生徒の割合をまとめたものからの数値となっている。また高校生においても、高校中級程度に当たる実用英語技能検定準2級以上の英語力がある生徒の割合を教員が算出したものである。

一定水準の英語力を持つ生徒の割合は、中学3年生が前年度の調査で50.0%に対して52.4%、高校生が前年度50.6%に対して51.6%といずれも過去最高のポイントに伸ばした。ただ政府が掲げる2027年度までに60%以上に達するという目標に対しては大きな開きがあることと、地域ごとに見た場合大きな開きがあることが課題となった。

まず2027年度までに60%以上のポイントを目標とすることに対しては、なかなか難しいところである。中学生は67自治体の37自治体が50%を超えたに過ぎず、また高校生においては47自治体のうち21自治体にしか過ぎない。文部科学省は教員の英語力にも課題があるとし、授業中に英語を使う割合が高い学校では、生徒の英語力も高い傾向にあると分析をしている。このようなことから、別調査によると、英検準1級相当の英語力がある担当教員の割合は、中学校で46.2%、高校では82.2%だったという報告がある。

次に地域差であるが、最も達成率が高い自治体は、中学生においてはさいたま市の89.2%、次いで福井県の79.8%、福岡市の65.9%となっている。逆に最も低かったのが新潟市の34.5%、次いで青森県の35.8%、福島県の38.2%となっている。仮にトップのさいたま市と最下位の新潟市を比べると、2倍以上の54.7%とその差はかなり大きいと言える。ちなみに横浜市は中学生が65.4%、神奈川県では46.7%となっている。高校生では、福井県が61.2%と最も高く、熊本県が42.4%と最も低かった。中学生ほどその開きはないが、それでも18.8%と20%近い開きがある。因みに神奈川県は57.9%であった。

これにおいても教員の英語力を地域別でみると、準1級以上の英語力を持つ教員の割合が、トップの東京都が69.5%に対して岩手県は23.3%にしか過ぎず、3倍程の開きがある結果がある。

英語力と生徒教科指導力は直接関係ないという意識を持つ教員も多いと耳にはするが、英語力がある教員とない教員を比べた場合、どちらがいいかということに関しては言うまでもない。こういった意識がある教員がいる限りでは、文部科学省が掲げる目標を達成するのもなかなか難しいと思われる。

私学の中学校や高校の調査結果はないものの、中高一貫校の一部の学校では、高校進学の目安の一つに英検3級取得とうたっている学校があるなど、学校全体で英検の資格取得に取り組んでいる学校が少なくない。カリキュラムも高校2年生終了時点で高校3年生までの授業内容を終わらせる学校が多くあったり、学校によっては高校1年生で終わらせたりすることを目標にしている学校もある。

このようなことを鑑みると、私学に通わせたい保護者が多くいることが頷ける。

まだまだ公立中学や高校には課題があるだろうが、一つひとつクリアしていってもらいたいものである。

関連記事