小中学生の8.8%が発達障害
2022年度、通常学級に在籍する8.8%の生徒が、何らかの発達障害の可能性を持っていることが文部科学省の10年ごとの定期調査で先日わかった。この数値は10年前の2012年の調査の時より2.3%上昇しており、小学生に限っては約10%の児童が学習や対人関係で「著しく困難」とされた。これを受けてコミュニケーションを身に付けるため、別教室で受ける「通級指導」のニーズが高まっているのが現状だ。この通級指導の現状として横浜市立八景小学校の様子を見てみるとこんな感じであった。指導を受けていたのは、気が散りやすくじっと座っていられない課題を抱える児童4人である。先生が配ったプリントに日付や今日の予定を書く作業に取り組んだが、鉛筆を持ったもののじっとしていて書くことができなかったり、周りをキョロキョロと見まわすだげだったりと、何もしないという状況がしばらく続いた。また席を離れ歩き回ってしまう児童については、「戻ってくれますか」という声をかけるものの、すぐには席に付かない、付けないというのが現状もある。
1993年度に制度化された比較的軽い症状を持つ児童の通級指導は、年々その対象人数が増える傾向にあり、2018年度からは高校でも始まった。LDと言われる学習障害やADHDと言われる注意欠陥・多動性障害とされる児童・生徒が発達障害という一つのくくりとされたことにそれはある。このため普段は通級教室で過ごすが、週に数時間だけ別教室で特別な指導を受けている。別教室ではカードゲームや運動を通じて気持ちを落ち着かせ、気持ちを制御する方法を学んでいる。これを繰り返すことにより、ゲームに負けると泣いてしまったり暴れることがほとんどなくなったり、また教室から出て行ってしまうということがなくなったと通級指導教諭は言う。
これら何らかの発達障害を持っている児童・生徒に対しては、通常学級での日常的な支援が必要だとある有識者は言う。東京都内のある小学校では、3人の発達障害を持った児童を普通級の最前列中央に座ってもらい、担任の先生の他特別級の先生が支援に入る。そのうちの一人の先生はどの教員でも支援に入れるよう、3人の児童の行動について記録している。担任の先生は、「どれだけ手があっても足りない」と口を漏らす。同行の校長は、管理職もサポートに入るなど、教員総出で対応していると話す。
このようなことから、特別支援教育経験が豊富な教員や通級指導の教員らが、学級担任のさまざまな相談にのりながら経験を積んでもらうことが、学校全体での指導として重要だと思われる。