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横浜共立 出題ミス

横浜御三家の一角、横浜共立学園中学校の今年の入学試験、3日に行われたB方式試験の算数の問題において採点ミスがあった、と学校側が発表した。問題[4]において本文に誤りがあり、(2)と(3)は解答することができない問題ということである。

この問題に関して全員の解答を正解とし、その結果12名が新たに合格となった。

学校は、「このたびは受験生ならびに保護者の皆様をはじめ、関係者の方々に多大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。本校といたしましては、今回の事態を重く受け止め、再発防止に万全を期してまいります。」としているが、これはかなり受験生には大きな動きがあったと思われる。

では、横浜共立学園中とはどんな学校なのか。根岸線石川町駅を最寄り駅とし、徒歩10分、有名な外人墓地がある山手の丘にあり、創立1871年の歴史ある学校である。キリスト教を信仰した学校で、私の個人的な印象では、まじめな生徒が多く、言われたことをきちんと守り実行できる、全体的に大人びた感じを強く持つ生徒が多いといったところだろうか。

横浜共立学園中のB試験は、3日に行われ同日合否の発表がある。定員30名に対して今年度は384名が受験、12.8倍という倍率であった。しかし当日受験を回避する生徒や欠席する生徒、また定員より多くの受験者に対して合格を出すことから、実質倍率は、22年度は2.7倍で79人の合格。21年度は3.0倍で70人の合格、20年度は3.1倍で69人の合格者を出しており、毎年、75人前後の合格者を出している。

この横浜共立学園中学校は、各大手の塾においても高く評価されており、以下のようになっている。数値は50ポイントを平均値としている偏差値を表しており、今回問題があったB試験に的を絞ってみた。
             サピックス     四谷大塚     日能研     首都圏模試
   横浜共立学園B     55       62      62       73
   フェリス女学院     55       65      62       73

このように見ると、2月1日に行われたフェリス女学院と比較することによって、ほぼ同レベルであることが分かり、人気度が高いことが理解できる。大きな違いは、フェリス女学院が4教科入試に対して、横浜共立B方式では国語と算数の2教科入試という事である。

問題のあった算数は、全体的にも難しいと言える。が、過去問題から整数の性質、場合の数、比(割合)の文章題、旅人算、図形(水の体積/移動/求積)を上手に攻略するところに合格のポイントがあると思われる。出題形式に慣れ、「これ、どこかで見たことがある、やったことがある」といったように、各単元の典型的な問題をしっかりとマスターしておけば大丈夫だと言える。

このような中で今回の2問が答えを導くことができず、全員が正答としての合否の改訂、12名の追加合格は横浜共立女子学園にとっては許しがたい事態となってしまった。横浜共立学園中を受験する生徒のパターンを大きく2つ、例として挙げてみた。1つはいわゆる「押さえ」で受ける生徒、そしてもう一つは第一志望として受ける生徒のパターンである。

押さえパターン……フェリス⇒洗足学園⇒横浜共立B⇒鎌倉女子学院2
第一志望パターン…横浜共立A⇒湘南白百合学園⇒横浜共立B⇒鎌倉女子学院2

問題は、横浜共立学園中を第一志望としている生徒である。12名の追加合格者の中にどれだけ第一志望としている生徒がいるかであるが、残念ながら横浜共立学園中が不合格であった場合、パターン例にあったように、2日に受けた湘南白百合学園中や4日に受けた鎌倉女学院、その他清泉女学院中や青山横浜英和中、山手学院中といった学校も受験校として選択していた可能性がある。12名全員が横浜共立学園中の追加合格に応じないとしても、前述したように人気度が高いことから進学先を変更した生徒は少なくないと思われる。当然、この追加合格の日程から進学予定の学校への入学金等をすでに払い込みがされていると考えられる。すると新に横浜共立学園中への入学金等の支払いを、という経済的な問題がある。またこれによって先に挙げた学校では、入学辞退という状況になり欠員となる。これによっての繰り上げ合格をする学校もあれば、日程的にしない学校もあるだろう。しかし私立学校においては、学校運営における収入のほとんどは生徒の授業料であり、また国や地方公共団体からの補助金も生徒数によって支給されることから、この問題は軽視できない。

今後、どの学校においてもこのようなミスはもちろんのこと、合否に関係する全てのミスは、受験生や保護者のことを考えると絶対にしない策を講じて欲しいのである。

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