学校飼育の負担
私の小学校時代には、校庭の片隅にウサギ小屋と鶏小屋があった。クラスでは飼育係というものがあり、教室で飼う金魚やドジョウ、また季節によってはカブトムシやスズムシが飼われた。飼育係はこれらのお世話の他に、先にあげたウサギ小屋と鶏小屋を学年をまたいで掃除をする当番があった。餌をあげるのはもちろん、糞尿の始末もしなければならない。しかし多くの係の児童は、糞尿の始末をしてでも飼育係の特権として鶏が産んだ卵がもらえるのは嬉しいものであった。
このような思い出がある中、この飼育小屋、動物を飼育する学校が減っている現状がある。原因は飼育費用や教員の負担だと言う。動物を飼うメリットを多くの人が周知しているにも関わらず、このような現状は誠に残念なことである。こういったことから、獣医師会が無償で動物を貸し出したり、地域のボランティアが世話に協力したりなどして、支援の輪が広まりつつあるという事実もある。
教員の負担については、ホームページの「室長のつぶやき」でも記してきたことではあるが、この教員の負担をどのように捉えるかが一つの課題でもある。現在の文部科学省小学校1・2年生の学習指導要領では、生活科の中で動植物を育てる活動を明記している。命の大切さや思いやりを学ぶ成果があるとしている。
このようなことから何らか飼育する必要性はあるのだが、なかなか現状にそぐわないのが事実のようである。愛知県においては10年前と比べて動物を飼育している小学校は3分の1程度にまで減った(2021年度統計)としている。なぜこのように大幅に減ったのか。その理由として、飼育施設の老朽化、夏休みや冬休みといった長期休暇中のお世話、動物の病気や怪我といった措置、をあげている。
動物と触れ合い飼育することで愛情が湧き、思いやることができる。このようなことを絶えることなく継続させていくには、地域住民を中心としたやはりたくさんの支援が必要であることを強く感じた。