警察に通報へ 悪質ないじめ
文部科学省は学校のいじめについて、学校や教育委員会に対して犯罪にあたるとみられる案件については警察への通報や相談を徹底するよう求めた。
今まで深刻ないじめであっても、学校単位で生徒指導が必要な案件の一つという扱いに留まり、警察との連携を拒むケースが多かった。今回は、こうした考えを改めようと言うのが狙いである。
文部科学省による各都道府県教育委員会への通知では、犯罪にあたるかどうかという判断がしやすいよう、19もの事例を示しているのが特徴と言える。その具体例として、「ゲームだとか悪ふざけと称し、殴る、蹴ると言うことを行う」は、『暴行罪に』や、「言うことを断われば危害を与える、と脅し、ジュースやお菓子等を購入させる」は、『恐喝罪に』、また「度胸試しだ、ゲームだといって危険な行為をさせる」は、『強要罪に』。さらに「お前死ね、と言ってとそそのかし自殺に追い込む、決意実行に至らせる」は、『自殺関与に』といった具合である。
その他、「下駄箱の靴や体操着、教科書を盗む」は『窃盗罪に』、「特定の生徒の名前をネット上にあげ、身体的特徴を“気持ち悪い”、“不細工”といった誹謗中傷を書き込む」は『名誉毀損罪に』といった、普段の生活の中で容易に起こっている事例への注意喚起も行われている。
文部科学省では、普段から学校が警察と密な連絡・連携を強化し図る事が大切だと言う。情報のやりとりをする窓口となる教員と担当警察員を指定しておく他、自殺予告、予見といった緊急事案についてもすぐに対応できるよう、休日や夜間における充分な連絡体制も設けるとしている。
こうするに至る背景として、学校での生徒指導では限界があるという状況がある。実際、生徒指導教諭がある事案を対応したが、被害生徒保護者からの要望で警察に相談したところ、警察官での事情徴収では、加害生徒は一転否認から認めたという事例がある。
今後、加害内容がスマホなどの端末が利用されるなど複雑化したり、教員の仕事量の増加による時間確保が難しかったりする中では、こういった事は被害者を生まない有効な手立てと言えるのではないだろうか。