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七夕の秘密

現在では夏休みななる前、蒸し暑い夏の7月7日が七夕とされているが、実は七夕は秋の行事である。太陰暦では7月から9月までは秋とされていて、俳句においても七夕は「秋の季語」となっている。ちなみにこの7月7日は、太陽暦では8月22日にあたる。8月7日に七夕の行事が仙台を始め多くの地域で行われる。これは約1か月後の方が「織り姫」も「彦星」も天高く上り、もともとの七夕の夜空に近いからとされている。

さて、この七夕は江戸時代に徳川幕府が7月7日を当時の祝日にあたる「式日」に定め、町人や農民によって七夕の行事が行われ、広まっていったとされている。童謡『たなばたさま』の歌詞にも出てくる「五色の短冊」に少しスポットをあててみる。信号の三色、虹の七色、と色の組み合わせには色々とあるが、この「五色」の色、五つを正確に言える人は少ないだろう。正解は「黒・白・黄色・赤・青」となる。この五色は中国の「五行説」という考えによるもので、こり世界を作る5つの要素とされている。だからこそこの短冊に願い事を書いて、叶うようお祈りしている。

実は、上述した織り姫と彦星についても、中国が関係している。まず、日本に伝わる七夕は日本と中国の伝説が混じり合ってできた物である。日本では、古くから機織りの女性が神のために着物を織って秋の豊作を祈る行事があった。その後中国から牽牛と織女(彦星と織り姫)の伝説が伝わった。織女と言う名前の通り、機織りや裁縫をする女性を表すことから両者が重なり、口伝えに他の要素も付け足され、今の七夕の物語となったとされている。そのため「年に一度だけ会う」とか「二人の出会い」といった点では、物語によって多くの点で相違がある。

しかし、どうしてこのような物語が生まれたのか。これを考えるとやはり理科的な要素は外せないだろう。星を見上げたとき、やはり大きくそして強く輝く星に目が行くのは当然である。夏の夜空を見上げた時、天の川を挟んで「織り姫」と呼ばれる「こと座の“ベガ”」、そして「彦星」と呼ばれる「わし座の“アルタイル”」、この2つは一等星で、太陽の約1.8倍、表面温度は8000度で、地球からは大きく青白く光る星として見ることができる。

今年の7月7日も、夜空を見上げる人は少なくないと思う。今年こそ、織り姫、彦星をはっきりと見たいものである。

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