給食の無償化の是非
学校給食の無償化は、子育て支援の一環として全国に広がりつつある一方、財政負担が大きいことなどから実施を見送る自治体がここ最近増えている。
給食提供の施設・設備費は各自治体が、食材費は保護者が負担すると学校給食法で定められている。そのような中、近年給食の無償化を打ち出す自治体が増え、文部科学省が6月12日付で発表した調査結果では、昨年9月時点で完全無償化をしていた自治体は、1794自治体中547自治体に留まり、伸び悩んでいるとの見解を示した。
埼玉県の坂戸市では、市立小中学校19校で完全無償化に踏み切ったが、その経費は年間4億円に上ると試算している。また青森県では、都道府県単位で初めて今年10月からすべての小中学校で一律の無償化に取り組むとしている。そのため県は今年度予算に市町村への交付金として20億円を練り込んだところだという。さらに東京都では今年度から無償化にする自治体に対して、負担額の半分を補助するとしている。
その一方で、無償化を取りやめた自治体も少なくはない。北海道のある自治体は、昨年8月から今年3月まで無償化を行ってきたが、財政の確保ができなくなり、今年度4月から保護者の負担として戻した。無償化にはどうしても国からの援助が必要だと言う。
これに対して文部科学省は、全国の小中学校で給食無償化を実施した場合、年間5100億円の財源が必要だとしており、全国での給食無償化は課題が多いとしている。
このような現状がある中、自治体の財源確保によって完全無償化や保護者負担になっているのは好ましくはないだろう。例えば、道路一本隔てて自治体の境にある地域の人々は、無償化か保護者負担になるか、これは特に大きな関心どころとなるに違いない。こういった不平・不満につながらないような策を、是非とも国が主導で講じてもらいたいものである。