284大学で定員割れ
日本私立学校振興・共催事業団は、9月9日全国の私立大学のうち半数近くの284校で今年度の入学試験において定員割れをしていたと発表した。この数値は、回答があった598校の47.5%にあたり、1999年度の調査以来最も多くなった数値となる。定員に対する入学者の割合を示す充足率を私大の規模別で見ると、小規模校ほど入学者が落ち込んでおり、80%台の数値に留まっている。ちなみに私大全体の充足率は平均100.84%なので、80%前半である大学においては20%近い差を生じることになり、大学に支給される補助金などを考えると、存続の危機に直面している事は間違いないであろう。一方定員3000人以上の大学では、104.07%とコロナ拡大前に比べると大幅に回復している。
このような状況をみると、コロナの影響がやはり挙げられる。コロナ感染が拡大していた時は、地元の大学を志望校とする生徒が多かったと推測できる。しかし終息しはじめるとやはり東京や大阪、名古屋といった大都市圏の大学への進学を希望する生徒が増加し、都市部の大学と地方の大学の志望者数の差が拡大していったとみるのが妥当であろう。大学進学の予備校、塾の業界では『大学全入時代、選ばなければどこかしらの大学に入れる』ということをよく耳にするが、確かにそうであると思う。また外国人留学生の受け入れが引き続き難しい状況が続けば、廃校になる大学も今後加速すると思われる。ある地方の大学では、在校生の約半数が外国人留学生で、東南アジアや南アジアの学生が目立つという。
このような状況の中、今後各大学では、特色・特徴を前面に押し出し、生徒の獲得に一層の創意工夫が求められるであろう。