生徒のルールメイキング
標準服、いわゆる制服や校則といったルールについて、生徒たちが率先して見直しを進める『ルールメイキング』活動が全国に広がっている。
課題を定めて情報を集め、新しいルールを話し合い、皆が納得する答えを探る。これは社会で求められている合意形式の過程を、体験する機会にもなっていると考えられる。
大阪府泉大津市の小津中学校では、2021年度から校則を中心とするルールの見直しを始めた。全校集会で生徒会長が「疑問を感じている校則は何かありませんか」と質問する。そして見直し作業を進める有志を募ると、約20人の生徒が集まった。全クラス毎の話し合いでは、「気候に合わせた服を着たい」、「女子もスラックスをはきたい」といった意見が寄せられた。そのような中、男子は詰め襟、女子はセーラー服といった標準服に対しての不満が多いことが分かった。これをもとに有志メンバーは、週1回ほどの頻度で話し合いを繰り返し、家庭にアンケートを実施したり、学生制服業者に聞き取り調査を行ったりした。これを踏まえて保護者や地域住民が参加する学校運営協議会に服装の見直しを提案した。翌年2022年には具体的に色などについては、生徒は色の選択肢を増やしたい、という要望に対して、一部保護者からは華美な色は風紀の乱れにつながり不安があるとするなど、難色を示し対立する事案もあった。保護者会を重ね何度も議論した結果、生徒側の意見が尊重された。このようなことを色々と経て、今年2023年度からはスカートやブレザーなどを自由に選べる新しい標準服が完成した。それだけでなく、ユニクロのポロシャツやスラックス、パーカーといった既製品からも選べるようになった。
愛媛県西条市の県立丹原高校では、生徒たちの話し合いをきっかけに校則変えた事例もある。夏服と冬服の間に、セーターを着用することが認められるようになった。校内でのスマホ利用禁止、前髪の長さは眉までの長さまで、といった校則の見直しについても現在話し合いが行われていると言う。
ルールメイキングは、関係する人たちの意見を充分調整し、合意条件を見出すという社会人になった時に必要なことと思われる。校則という身近なルールを通して、中高生にも早くからこのような経験をつんで欲しいと思いつつ、各地の動きを私も支援していきたい。