学習端末不適切利用問題拡大
小中学生に、一人一台配備された学習用端末の利用を巡り、一部の自治体で大きな問題となっている。端末にアプリを提供する、東京に本社を置くリクルート社が、児童生徒の個人情報を直接取得・管理していることがわかったのである。さらに一部のデータは、保護者に充分な説明がないまま、海外の事業者に委託されていたり、一般向けに販売しているアプリの機能改善に利用されていたりしていることもわかった。
政府が打ち出した「GIGAスクール構想」のもと、各自治体は民間企業の学習用アプリを導入し、アプリを通じて氏名や学習履歴などの個人情報を収集している。一人ひとりに合わせた学習が可能になる利点があり、義務教育の場で使われることもあり、子供や保護者が情報の提供を拒むのは難しい現状がある。「スタディアプリ」を導入して授業を現在進めている中京圏にある学校の保護者は、「ある日、アプリの利用を知らせる書面を子供が学校からもらってきて、それには『個人情報は同アプリによる学習補助以外には使わない』と記されていた。そしてQRコードを読み取りアクセスし、個人情報の利用や管理方法を定めた同社のプライバシーポリシーに同意するよう求められた」と話す。このようなことから、「同意しないと、拒否をしたら、うちの子だけ授業を受けられないかもしれない」と不安にも駆られ、主人とも相談し仕方がなく同意せざるを得なかったという。
また、子供のどんなデータがどこで使われているか、そして誰に見られているか分からず気持ちが悪い、と話す保護者もいる。このようなことから「学校はきちんと説明するべきだ」と学校に詰め寄る姿もあった。
子供の情報は学校できちんと管理されている、まさか一企業が管理してそして海外へ流出しているなんて、と多くの保護者が思っていることであろう。
近く文部科学省は、自治体の情報管理が不適切だと見て、全国調査に乗り出すとしている。
このような案件は事前に充分想定できていただけに、今回の事案は誠に遺憾である。今後どのように対処対応していくのか、個人的にも目が離せないところである。