ネットの真偽を見極め学ぶ
日本人はネットの情報を疑うことなく、そのまま信じてしまう傾向がある。つまりその情報を確かめようとしない傾向が強いということである。このような状況が、国際大学准教授山口氏が中心となって実施した調査で空き欄になった。この調査における特筆すべきは、日本人だけを対象としたものではなく、日本と結びつきが強いアメリカ人と、お隣り韓国人に対しても実施しているところにある。
調査を実施した人数は3,000人と決して多い人数ではないが、対象とした人の年齢は15歳から69歳と幅広く、山口准教授は面白い結果が得られたとしている。調査ではネットの情報を検証する行動について9項目において訪ねている。例えば情報源を調べるといった第一ソースは、アメリカ人が73%、韓国人が53%といった数値に対し、日本人は半数にも及ばない41%にとどまった。続いてその情報がいつ発信されたかといったことに対しても、アメリカ人が74%、韓国人が73%といった数値に対し、日本人は半数にかろうじて達した54%だった。さらにその情報は何のために発信されたか、という問いに対しては、日本人は44%にしか届かず、9項目すべてにおいて日本人はアメリカ人、韓国に人に勝る数値を見ることはできなかった。
このような状況を踏まえて、情報の真偽を見極める手法を学ぶ動きが学校でも広がりつつある。東京にある私立中学校では、慶応大学学生団体「クラスルームアドベンチャー」が行うメディアリテラシーの出前授業が取り入れられている。授業ではまず1分間の動画が流される。国道5号を走行する車からの映像だ。生徒たちは個々人のタブレットをじっと見つめ、動画に集中する。そもそもこの動画に映っている国道は本当に国道5号線なのだろうか。すべてはこれから出発した。映像に映し出されたラーメン店の名前や道路状況から、国道5号ではなく神奈川県内の国道15号であると突きとめるといったことであった。こういったことは、以前拡散された、2016年の熊本地震で、動物園から逃げ出したライオンの画像や文章であったり、最近では今年元旦に起きたのと地震での被害状況の写真が、実は東日本大震災のものであったりというところに重要性を見出すとことができる。
生成AIの精度が今後ますます上がり、私たちは真偽を一つひとつ見極めなければならないことは言うまでもないだろう。
中学生や高校生の段階で、このような動画や画像などの真偽を高める力を十分身に付けてもらいたいものである。