二極化する待機児童
こども家庭庁によると、8月30日、今年4月1日時点で認可保育園の待機児童の数が全国で2,567人となり、1994年の調査開始以来最小になったことが分かった。都市部では解消に苦戦する一方、少子化が進む地域では逆に定員割れが深刻化しており、いわゆる「二極化」が鮮明になったことが言える。
今年の待機児童は、前年度より113人減り、6年連続で過去最少を更新している。申込者も4年連続で減少していることもこの状況を後押しした。そして待機児童がいる自治体は、2018年の435自治体から217自治体まで減少している事にも注目したい。
待機児童数も自治体数も減少はしているものの、完全に解消はしていない。その理由のトップとして、「申込者が想定以上に増えた」 で、関東で最多の58人を抱える東京都世田谷区の現状は正にこうであった。これに対して区の担当者は、「年によって申込者の増減が激しく、なかなかそこが読み切れない」という。また首都圏のベイエリアや大阪や京都のベッドタウンとなっている滋賀県の大津市では、高層マンションが林立し、なかなか解消には向かうことができないようである。
一方少子化が進む地域では、保育施設の維持管理が最大の課題となっている。例えば、島根県松江市の保育施設では、出生数が232人減少したことにより、市内87施設のうち60施設が定員割れとなった。このような事から、松江市では2年連続で20人未満の公立保育所については、統廃合などの再編を検討せざるを得ないという。
子育ての基盤である保育所が減り、通所までの時間がかかったり、通勤に遠回りを余儀なくされたりといった利用がしにくい状態になれば、ますます人口減少は拍車がかかるのでは、と危惧するばかりである。いわゆる「負のスパイラル」に陥りかねないことであろう。
国も自治体ばかりに任せず、先頭をきって対処対応に向かってもらいたいところである。