
文部科学省が私大経営撤退を支援
先日14日に、一部の私立大学や短期大学の経営が厳しい状況にあることをこの「お知らせ」の中で論じたが、これについて反響が多く、ついに文部科学省が動き出した。
少子化の影響で多くの私立大学や短期大学の経営が厳しさを増す中、文部科学省は、「私大が経営からの撤退をスムーズに進められるよう支援をする専門家チーム新設する」と方針を固めた。文部科学省は、大学の統廃合や定員削減などの「規模の適正化」を進めており、突然の破綻を回避するための対応策を講じていく考えである。
大学が突然破綻し、在籍する学生が行き場を失わないためにも早めの縮小や計画的な撤退を促すのが狙いとしている。撤退を決めた大学から要請があった場合、弁護士や公認会計士らによる専門家チームを派遣する用意も準備している。これは複数年にわたり、資産の処分などの助言をするのが目的であるらしい。また文部科学省は経営が行き詰った大学に撤退を勧告する際の目安も示すとしている。これは学生の募集停止後、在学生が全員卒業するまでに必要な人件費や施設費が不足する場合を想定してのものである。
文部科学省はこれらを踏まえて、経営難の大学に対して、私立助成金の交付要件も厳格化する考えである。具体的には経営が悪化している42大学法人に経営改善計画を提出させ、経営指導をする。これらの対策をもとに経営難と判断した新たな大学法人にも広げていき、計画通りに改善が行われない場合、私立助成金を減額するとしている。残念なことに100法人がこの対象とみられている。
現在、598大学法人のうち約6割の大学法人が入学者の定員を下回っており、現在大学入学志望者64万人の希望者が2050年には41万人と約3割も減ってしまうことが予想されている。これにより大学の数多くが破綻に追い込まれることは間違いない。
母校がなくなる、というのは卒業生としては何とも言えず寂しいことになるであろう。多くの生徒がこのようなことにならないよう、大学進学先選びは慎重になってもらいたいものである。