学部・修士一貫教育5年制度化
文部科学省は、大学の学部と大学院修士課程の「5年一貫教育」を制度化する方針を固めた。早ければ今年度中に大学院設置基準などを改正し、2026年度からの運用を目指すとしている。学部4年間、修士2年間で計6年間の在学期間を1年短縮することで大学院進学者を増やし、国際的に通用する高い専門性を身に付けた人材輩出につなげる狙いがある。
文部科学省は10月8日に開かれる中央教育審議会の部会で、学部・修士5年一貫教育の制度案を示し、具体的な検討に入る。
通常学部は4年で卒業し、大学院では修士過程2年、博士過程はさらに3年で終了する。制度案では、学部4年間、修士1年間の計5年間とする。学部段階で修士の単位を先取り取得することで修士1年間を終了するケースと、先取りはせずに修士を1年間で終了させるケースのいずれかを大学が選択する。大学教育の質低下を招かないよう、大学が申請するカリキュラムを文部科学省が審査し、修士の短縮を認定する形となる。
現行でも成績優秀など一定条件を満たした学生に限って、学部を3年で卒業したり、修士を1年で終了したりすることが認められている。この仕組みを利用し、一橋大学や慶應大学なとの一部の大学では、成績が優秀な学生向けに学部・修士一貫教育プログラムを展開している。東京大学では27年開設予定の新学部「カレッジ・オブ・デザイン」で、学部4年間、修士1年間の5年一貫教育を計画している。
日本は先進国とする外国と比べて修士号や博士号を持つ専門学生、いわば人材が少ない。学部卒業生の内、大学院に進学する学生は10%に留まり、30%余りを超えるフランスやイギリスに大きく遅れを取っている。
一貫教育の制度化で世界レベルの人材を増やし、国際競争力向上につなげていきたいところである。
とにかく注目すべきは、繰り返しとなるが2026年度の運用を目指す所にある。現在の高校3年生は、これを踏まえて大学、学部選びをしなければならないことが急務となる。